時短コミュニケーション

古臭いが効果絶大「初回だけ対面」を最大限に活かす「手土産作戦」

アイスブレイクは必要か

ひと昔前まで、初対面の人同士が一緒に仕事をするためには「アイスブレイク」が必須だと考えられていました。アイスブレイクのアイスは「氷」、ブレイクは「打ち砕く」という意味で、ビジネスの 世界では「初対面の人同士の緊張を解きほぐす」という意味で使われます。

アイスブレイクとして自己紹介や簡単なゲームをすることもありますが、一番多いのは 「雑談」でしょう。対面してから本題に入るまでの5分、 10分ほど「いい天気ですね」「最近めっきり寒くなりましたね」「眺めのいいオフィスですね」「このエリアだとランチはど こへ行きますか」など他愛もない雑談を重ねる、あの行為がアイスブレイクにあたります。

私は勤め人だった頃からアイスブレイクが苦痛でした。とくべつ口下手というわけでは ないので、やろうと思えばできるのですが、「それをして何の意味がある? 時間のムダではないか」と思えてしまい、どうにも身が入らないのです。

そもそも5分、10分と雑談をしたところで、相手と仲良くなるかといえば、なりません。ちょっと緊張がほぐれるくらいの効果はあるでしょうが、それはなにもアイスブレイクに時間を割かなくても、普通に商談を進めていけば、徐々にアイスは溶けていくもので す。

それに、仮に相手と仲良くなったとしても、それがビジネス上プラスに働くとは限りません。仲良くなったことで、逆に言いたいことが言いにくくなることもあるでしょう。

ところが日本社会にはアイスブレイクへの信仰が根強くあって、初対面の相手と「雑談しない」という選択肢は、ないに等しいものでした。アイスブレイクが苦手な人にとっては、なかなか面倒な社会でした。

オンライン会議で様子が一変

しかし、「オンライン会議」が普及したことで様相は一変 しました。

オンライン会議は移動が不要なので、「会議が終わった10分後に次の打ち合わせ」とい うように、分刻みで予定を入れる人が増えました。そうなると、会議時間を延長するわけ にはいきません。時間内に会議を終わらせるため、必然的にアイスブレイクの時間は削ら れ、いきなり本題に入ることが増えました。私のようなアイスブレイク嫌いの人間にとっては、うれしい変化といえます。

 

とはいえ、すべての会議や打ち合わせがオンラインになったわけではありません。とくに初対面の場合は、最初だけでも直接会って顔合わせをしておいた方がお互いの〝人となり〞がなんとなくわかり、安心して仕事ができる、その感覚は私にもあるため、大事な相手に対しては「ぜひ対面で」とお願いすることもあります。

手土産も有効な方法

ただ私の場合、対面でお会いするのは本当に「初回だけ」で、2回目以降はオンライン でのやり取りが中心になります。だからこそ、その一度きりの対面を最大限に活かしたい という思いがあります。

だから私は、これから長いお付き合いになりそうな相手や、ほぼほぼ受注が決まりそう なクライアントに対しては、初回の顔合わせのときに「手土産」を持参します。

これは以前お世話になっていた出版塾の代表から学んだテクニックで、彼は出版社まわ りをするときに「今回の本もよろしく」と言って、必ず菓子折りを渡すのです。

正直にいえば、最初にその様子を目の当たりにしたときは、ちょっと嫌らしいな、と 思ってしまいました。下心が透けて見えるというか、「そこまでしなくても」と、少し引いてしまう感覚がありました。

ただ、よくよく観察してみると、菓子折りをもらって嫌な顔をする人は1人もいないの です。みんな「悪いですね」などと言いながらも「では職場のみんなでいただきます」 と、うれしそうに受け取ってくれるのです。 「もしかしたら、これは究極の時短コミュニケーションかもしれない」と思いました。

効果が出るかどうかわからないアイスブレイクに時間を割くよりも、確実に喜んでもら える手土産作戦を実行した方が、よりスピーディに人間関係を構築できる。

私はそう結論づけ、以後、代表の「手土産作戦」をマネさせていただいているのです。

時代に逆行するようなやり方ではあるのですが、そんな古風なことをしそうにない若手の私があえてそれをやるとインパクトが強いようで、今のところどんなアイスブレイクよりも相手に刺さるなという手ごたえを感じています。

 

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