先進的企業は「パワーナップ」を採用している
仕事中や勉強中に眠気に襲われたとき、少しだけ仮眠をとると頭がスッキリ冴えわたり、集中して作業を再開できた、そんな経験は、だれにでもあるのではないでしょうか。実際に昼寝の有用性を認める研究は多く、たとえばNASA(アメリカ航空宇宙局) が行った実験では、昼に26分間の仮眠をとることで、認知能力が34%、注意力は54%も向 上したといいます。
ここでいう昼寝とは、昼食をお腹いっぱい食べたあと、たまらずに寝てしまう昼寝とは別物です。
眠くて仕方がないから昼寝をするのではなく、仕事のパフォーマンスを高めるために、 昼間あえて短時間の仮眠をとる 。それがコーネル大学の社会心理学者ジェームス・ マースが広めた「パワーナップ」(Power Nap=積極的仮眠)であり、アップルやマイクロソフト、Google、GMO、さらには私の古巣である楽天など多くの先進的な企業がこれを採用しています。
昼寝は10〜15分がベスト
私も楽天時代からパワーナップを習慣にしています。当時から午前中のゴールデンタイムに重要な仕事を詰め込むスタイルだったため、脳は朝からフル回転で、お昼を迎えるころにはスタミナも半減しています。そんなタイミングで10〜15分程度の仮眠をとると、脳の状態がリセットされて、普通ならパフォーマンスが激減してしまう午後でも、午前中に近いコンディションで仕事ができるようになるのです。
「10分の昼寝は夜寝の1〜2時間に相当する」という説がありますが、まさにその通りだと思います。 ただし昼寝の時間は10〜15分がベストで、どんなに長くても30分を超えてはいけません。 30分を超えると睡眠が深くなりすぎて、目覚めたときに倦怠感を感じてしまい、昼寝の効果が薄れてしまうからです。反対に「5分だけ」では昼寝としては短すぎて、脳の疲労回復が見込めません。
ノンレム睡眠には4つのステージがある
人は寝付いてからすぐノンレム睡眠(脳が休んでいる状態)になります。ノンレム睡眠には4つのステージがあり、入眠後すぐは眠りが浅いステージ1、入眠後5〜20分後はステージ2というように、ステージが進むごとに眠りが深まっていきます。実はこのステージ2のときに脳のキャッシュ・メモリがクリアされて、脳の疲労が取れると言われていま す。だから入眠後10〜15分、すなわちステージ2が終わってステージ3に入る前くらいのタイミングで目覚めるのが、パワーナップとしては最適なのです。楽天の仮眠室がふかふかのベッドではなくヨガマットのような硬いマットだったのも、熟睡して寝すぎないようにという配慮からだったのでしょう。
私はパワーナップが長年の習慣になっているので、15分もたてば自然と目が覚めますが、そのまま熟睡してしまいそうな人は、スマホなどでタイマーをセットしておくといいでしょう。また、10〜15分の昼寝なら起きたときの倦怠感はないと思いますが、少しボーッとした感じが残るようなら、ストレッチなどで身体を動かせば頭も体も一発で目覚めます。
昼寝は10〜15分という時間さえ守れば、場所や寝方はそれほど重要ではありません。会社に仮眠室がなければ、机に突っ伏して寝るのでも全然大丈夫です。周囲の目が気になって机では寝にくい人は、ランチ帰りにネットカフェに寄るのもありでしょう。都内にはネスカフェが運営する「睡眠カフェ」などパワーナップ向けのカフェもあるので、近くにお勤めの方はぜひ試してみてください。
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