まずは作業環境を整えよう
読者の中には、コロナ禍をきっかけにテレワークの比率が高まったという方もいらっしゃるでしょう。そんな人にお聞きしたいのですが、あなたはテレワークへの移行後、仕事のために何かしら「投資」をしましたか?
日経ビジネスの調査によると、コロナ禍による在宅勤務開始時に新たに購入したIT機器やソフトウェアへの支出金額は、ドイツがトップで381ドル、全体平均が273ドルであったのに対して、日本はわずか132ドル。日本は他の先進諸国にくらべて「自分の仕事環境に投資する」という意識が低いことがみてとれます。
その一方、「在宅勤務での生産性はオフィスより低下する」と答えた人の比率は、他国が 10%前後であるのに対して、日本は40%と断トツの世界1位。これはつまり、作業環境 への投資の少なさが生産性の低さに直結していることを物語っています。
ですから、あなたがテレワークでさらなる時短を成し遂げたいのであれば、まずは環境への投資を検討してください。環境が整えば、テレワークの作業スピード、効率、意欲は間違いなくアップします。効 率的に成果を出すことができれば評価も高まり、昇進やボーナスにも影響してくるので、 長期的にみれば必ずや投資以上のリターンを得られることでしょう。
まず先に見直すのはネット環境
では、具体的に「何に」「いくら」投資すればいいのか。
まず真っ先に見直してほしいのはネット環境です。テレワークの必須ツールであるWeb会議システム(Zoomなど)を使うためには、強いWiFiが必要です。
私はこれまでテレワーク中の人を含め、さまざまな相手とWeb会議を行ってきました が、 人に1人くらいは、WiFiが弱すぎて通信が途切れがちな人がいます。参加者の中にそういう人が1人でも混じっていると、発言が聴きとりにくくて何度も聞き返したり、こちらの話もうまく伝わらなくて繰り返し説明を求められたりして、会議が必要以上に長引きます。それは本人だけではなく、周りの人の時間も奪っているということです。
自宅でWiFiを使うには、ポケット型WiFi、据え置き型WiFi、光回線 という3つの選択肢があります。ポケット型は安価ですが、速度が安定しにくく通信が途切れることもあるため、ビジネス利用には向きません。据え置き型はポケット型にくらべればだいぶマシではあるものの、やはり最も安定的に速度が出るのは光回線です。光回線は高いというイメージがあるかもしれませんが、実際は月額4500〜5500円程度 と、ポケット型WiFiより1000円高いくらいなので、可能であれば光回線に切り替えることをオススメします。
光回線を使っているのに速度が出ない場合は、WiFiルータを見直してみてくださ い。いくらネット回線が速くてもルータの通信性能が低いと、そちらの通信速度が反映されてしまうからです。
ルータにはさまざまな規格や機能がありますが、速度を出したいなら「IPv6対応」 かつ「無線LAN規格WiFi5以上」を選んでおけば間違いないでしょう。
机と椅子も見直すべきポイント
ネット環境に次いで作業効率を左右するのは「机」と「椅子」です。先述の日経ビジネ スの調査でも「テレワーク実施の課題」でトップに挙げられたのは「デスク、椅子、ネット回線など作業環境の整備」で 54・5%にものぼっていました。
机については、「スタンディングデスク」がイチオシです。私は普通に座って作業をするノーマルなデスクと併用しているため、スタンディングデスクはコンパクトなタイプを選びましたが、どちらか1台しかデスクを置けない場合は「幅広タイプのスタンディングデスク」にすると作業がしやすく、仕事がはかどります。
パソコンに向かっている時間が長い人には「ゲーミングチェア」もオススメです。もともとは長時間ゲームをするゲーマーのために開発されたものですが、座り心地がよくて疲 れにくい、正しい姿勢を保ちやすい、座りながら休憩もできるなど、さまざまなメリットがあることから、最近は仕事でゲーミングチェアを使う人も増えています。値段はピンキリですが、比較的安めの価格帯(1万5000円程度)でもかなり高性能なものが見つか ります。
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