脳には、「決断疲れ」がある
人間の脳は、情報を処理すればするほど疲れて働きが鈍くなります。中でも脳にとって 大きな負担になるのが「決断」です。
ケンブリッジ大学の研究によると、人は1日に最大3万5000回もの決断をしている といいます。これでは脳が疲れてしまうのも当然で、朝、昼、夕方、夜と時間がたつにつ れてどんどん仕事のパフォーマンスが落ちていくのは、脳が「決断疲れ」を起こしている ことも大きな要因なのです。
だから午前中のゴールデンタイムを最大限に活かすには、朝起きてから仕事を始めるま での間、なるべく余計な決断をしないようにして、脳のスタミナを温存しておく必要があります。
電車でスマホを見るのをやめよう
具体的には、満員電車で「何もせずにボンヤリすること」を心がけてほしいのです。 通勤で電車を使っている人の99%は、乗車中にスマホを触っているのではないかと思います。
スマホは情報の塊なので、どんな用途であれスマホを使おうとすると、どのアプリを開くか、どのボタンを、どれくらいの力でタップすればいいかなど、無数の決断をせま られます。だから自分でも気づかないうちに脳のスタミナがどんどん減って、会社に着くころにはすでに脳が疲れ始めているのです。
私も社会人になったばかりのころは、通勤中はいつもスマホを触ってSNSなどを チェックしていました。でも、あるときニュースで「仕事の効率を高めるには、通勤中の スマホをやめて脳を休ませることが大事だ」という記事を読み、スマホを触る習慣をやめ てみました。すると、自分でも驚くほど仕事のスタートダッシュが違ってきたのです。
電車内でスマホを見ていたころは、会社のデスクに着いてからも、なんだかヌルヌル仕 事が始まっていく感覚でした。これから4時間半のフルマラソンを走らなければならない のに、もうすでに 分くらい走ったあとのような、微妙な倦怠感がありました。
ところが朝のスマホをやめてからというもの、そうした疲労感はいっさいなくなり、会社に着いてパソコンを開いた瞬間からギュンッ!と集中して作業ができる。その差は歴然 でした。
電車でのおすすめの過ごし方
では、電車内でスマホをやめたら、代わりに何をすればいいのでしょう? 正解は「何もせずにぼーっとする」です。 窓の外の風景を見るともなしに眺めていると、「そういば今日はこんな仕事があるなあ」というように、1日の予定が自然と浮かび上がってきます。それは脳が1日のスタートに 向けて、むくむくと起き上がろうとしている証です。通勤中にこの準備運動をしておくこ とで、出社後一気にスタートダッシュがかかるのです。
朝の決断エネルギーを節約するという意味では「何を食べるか」「何を着るか」を前日 のうちに決めておくのもいいでしょう。
アップル創業者のスティーブ・ジョブズは、黒のタートルネックにリーバイス501、 スニーカーと、いつも同じ服を着ていたことで有名です。Facebook創設者のマー ク・ザッカーバーグやバラク・オバマ元アメリカ大統領なども、いつも同じような服装を 貫いています。そうすることで、彼らは毎朝、服を選ぶのに費やす時間やエネルギーを節 約しているのです。
彼らほどストイックに着るものを限定しなくても、前日に「明日はこの服を着よう」 「明日の朝食はこれにしよう」と決めておくだけで、朝の決断回数は格段に少なくなりますし、バタバタしがちな朝の時間をゆったり過ごせるという余得もついてきます。
当サイトの記事が1冊の本になりました↓
すべての仕事を2分の1で終わらせる!アフターコロナの仕事術
前代未聞の脳の無意識を使った時短術、オンライン時代ならではのPC活用時短術やコミュニケーション術を一挙公開します。